小平おもちゃの病院の院長先生からのワンポイントアドバイスです。過去メールでドクター向けに書かれたものをこちらに掲載しています。
前回持ち帰りましたラジコンゴジラ(約30年前のもの)でコントローラにかかわらず本体電源ONで動いてしまうものです。 故障の原因は電池端子の接触不良でした。
このおもちゃは単三4本の直列接続ですが電源SWを含む電源ボックスからは3本の配線があります、最近のラジコンやモータ等のパワー系を持つおもちゃでは基板内部でCPU等の制御系の電源としての3.3Vラインは基板内部で作成されています。 この電圧の生成には通常DC-DCコンバータによって降圧されています。 この方式の場合には通常L(コイル)が実装されているのでわかります。 また3端子レギュレータによるドロッパ方式も見られます。
このおもちゃのように古いものでは直列電池の途中から配線を引っ張り出しコントロール系用として3Vないし4.5Vを供給しパワー系の電源としては6~12Vを使用しています。 今回の不良電池端子はGND側に一番近い電池でした。 この場合GNDが浮いてしまうことになるので動作しないはずですが3VラインとGNDは低インピーダンスでつながっているため3VラインをGNDとしてパワー系には見えることになります。 送信機からの信号は2種のみ(2ch)です。
このおもちゃの場合のコントロールICに何を使用しているかはばらしてないのでわかりませんが、少なくともCPUタイプではなく専用のICかディスクリートのデコード方式です。 ディスクリート方式の場合はフェイルセーフ機能があまりない為このような現象になる場合があります。 3V系の電池を一本でも抜けば、不良はすぐ再現できました。 一般的には基板内部で2つの電源を使用している場合に電池直結端子電圧のほかに、内部で作られるCPUを含むコントロール用の電圧のチェックが重要です。
服部
最近おもちゃの基板(PCB)も面実装部品が多く使われるようになりました。 チップ抵抗やチップコンデンサは片側を温めると全体が取れてしまうことがありませんが通常のハンダ鏝で無理やり取ろうとするとパターンを剥離させてしまうことがあります。 チップTRや多ピンのICを取り外す場合には取り外し用の鏝先(治具チップ)を作成するとうまく取れる場合があります。
高価なセラミックハンダ鏝では適用できませんが、ニクロム線タイプの安いハンダ鏝のチップ部分は30Wクラスでφ4、を使用している場合が多いためです。
このチップを取り外してφ4の銅の棒に差し替えて使用します。チップ抵抗、TRはφ4銅棒の先端に切り込みを入れ、やすりで幅を調整するだけで完成します。
ラジコン車に使用されているFETドライバーICの場合は切れ込みを入れた後、先端をICの大きさに合わせて曲げたり、叩いて広げるとOKです。
TO220のタイプに近いような放熱板を持つパワーICの場合は30Wの鏝では、パワーが足りず取ることができませんでした。
この場合は60Wクラスのチップがφ6なので、φ6の銅棒を加工して作ることができます。
いずれの場合も治具チップの長さは鏝のチップをほぼ同等の長さが良いと思います。あまり長いと熱パワーが減少してしまいます。 φ6の銅棒は数個分お分けすることができますので、申し出てください(無料) φ4の銅棒はそんなに高くないのでホームセンター等で手に入れてください(在庫なし)
服部
最近の修理事例より、以前にも一度書いたことがありましたが電池液漏れでCOB(マイコン)が動作しなくなりました。
マイコンのクロックが発振していません。これが出ない限り何も動作しません。 COB内部のボンディング不良の場合もありますが、今回は電池の液漏れによるリーク(高抵抗でつながってしまうこと)でした。 クロック発振部分は水晶発振子や高抵抗(数百KΩ)で構成されます。どちらもかなりの高インピーダンスです。
この素子の周辺にリークしそうな物質がついた場合発振が停止してしまうことがあります。 私の経験では半田付け時のフラックスも影響を受けたことがあります。 修理方法は簡単でアルコールで発振素子、ICのピン周辺を完璧にふき取ることで直る場合があります
服部
おもちゃとは言え修理することにより火災、事故等につながることは避けなければなりません。 このためおもちゃ病院協会のガイドとして100Vを扱うもの、銃、ビニールの浮輪を修理しないこととしています。 充分な知識をお持ちの方は、おもちゃ病院としてでは無く個人的にやられることは妨げません。
ビニールの浮輪やプールの空気漏れは、ビニール系接着剤と補修ビニールで結構修理できます。 この場合にも修理はせず、依頼に修理方法のアドバイスをして、自分でやってもらうようにしましょう。
電池を使用するおもちゃの設計時に安全対策として、電源回路にFUSE、ポリスイッチ、抵抗器が入っています
これらのものを修理する際には元の状態に戻すか、さらなる安全策を施してください。決して前記のものを直結して修理完了としないでください。
最近のアルカリ電池は容量が大きいため、負荷回路がショート状態になると電池が高温状態になり火災につながることもありえます。
特にリチウム電池の取り扱いには注意が必要です。
電池そのものの不良の場合もありますが・・・
おもちゃの取り扱い説明書にはあれをするな、これをすると危険と書かれていますが、実際に子供たちはとんでもない使い方をします。 通常のおとなの常識は通じないと思ってください
服部
瞬間接着剤はある程度の接着面積があれば非常に有効ですが、面積の小さい場合には非力です。 通常プラアーム等の折れが発生した場合は、それぞれに穴を空けSUSのワイヤーで縫い、その上をエポキシ接着剤で補強します。
最近いろんな方からご教授があった別の方法として、瞬間接着剤を使用して仮止めしその周辺に再度瞬間接着剤を塗布したのち、NaHCO3(重曹)を上からパラパラと降りかけると接着剤は瞬時に固まります。 余分な重曹を撤去後、再度瞬間接着剤を塗布する。これを2~3回繰り返すとかなりの厚みとなり、強固なプラ層となります 表面はざらざらの状態になりますがやすり掛けをすればきれいな面になります。
プラの材質によってはうまくいかないものもあるかもしれませんがぜひ一度トライしてみてください。 重曹は100円ショップで入手できます。
服部
本日、反省会でもお話ししましたが回転型メリーにおいて、回転しないという故障があります。
駆動回路やモータ不良の場合は修理すればokですが、回路やモータに不良が無く、駆動部分と回転部分の接続部分の場合が多々あります。 何かに引っかかった場合に回転を止めるためのクラッチの機構が組み込まれています。このクラッチ部分が滑るために回転しない場合があります。 外して手でチェックしてみても、とても滑るような感覚がなくても組み込むとすべってしまうことがあります。
クラッチ機構は180度対向のパンタグラフ状のプラバネ(ポリエチレン?)と内周側にギア状の歯を切った部品との噛みあいからなっています。 プラバネが割れている場合や、へたっている場合、外輪側双方のギア状歯の摩耗等があります。 これらの場合プラバネの空洞部分に何らかの充填物を入れることによりバネ圧を強くします。 回転部分を止めた時にはクラッチ機構が働きかつ通常は滑らない状態を保つようにプラバネを修理します。
服部
おもちゃ紹介
タカラトミー
カーズ レーザーコントロール メーター
リモコンから照射される光を追って、車が追走します。
https://www.biccamera.com/bc/item/1867003/#bcs_inlineContent
車の各コーナー四隅に光センサーがあり、それぞれの光の強さによって方向を検出しています。 車輪は右と左が独立に駆動されていますので、戦車のように右にも左にも方向が変えられます。
現在リモコンは一つですが車体は二つありますので、床にリモコンの光を当てると我先にそこに行こうとする様子は滑稽に見えます。 ペットの動物にエサを与えた時みたいです。
また前の車に追従するモードもあり、そのために車の後部に3つの赤外LEDもついています。
服部
修理依頼のおもちゃで、たまに変身系の時計型で、フラッシュの内蔵されているものがあります。
過去の経験ではフラシュに使用されているキセノン管が不良でした。 キセノン管は写真用のストロボライトに使用されており、発光スペクトルが連続性で太陽光に近く、演色性が良いのが特徴です。 修理に入手できるのは小型のデジカメや使い捨てカメラのフラッシュ機構が適当です。
今回は使い捨てカメラ(富士フィルムの写ルンです)のフラッシュ機構から取り外しました。 回路及び動作解析をしたところ、入力1.5V(単四)で出力電圧約300vの自励式昇圧回路でした。 この電圧を電解コンデンサにチャージし一気にキセノン管で放電させます。 この電解コンデンサの容量で発光量が決まります。 大きいほど明るい光が出ます。
写ルンですでは約100μF、おもちゃでは6.8μFがついていました。 100μFでは電池からのチャージ電流は非常に大きく起動時は2Aで徐々に減少します。 キセノン管を取り外す時には電源OFFでもコンデンサに充電電圧が残っており、必ずコンデンサの放電を行ってからでないと感電します。
キセノン管には極性があり、電極の少し太った方がマイナス側です。
発光させるにはトリガー電極が必要で、放電管のややマイナス電極に近いところのガラス周囲に設けます。トリガー電圧はマイナスの高電圧です(約4KVか?未測定)
写ルンですでは反射鏡がアルミで作られておりこれをトリガー電極にしています。
修理対象のおもちゃでは線材が巻き付けてありました。
また写ルンですのトリガー起動用SWの片側は150V程度の電圧が出ており、素手でそちら側を触っても感電します。 いずれにしても高電圧を使用しているところが多々あるため、取り扱いには注意が必要です。
服部
おもちゃの修理でマイコンの音声出力のチェックをするのにクリスタルイヤホンが有効に用いられます。
昔の物は振動部にロッシェル塩(酒石酸カリウムナトリウム)が使用されていましたが、最近のクリスタルイヤホンと称する物には圧電SPが使用されています。 ロッシェル塩は強誘電体でワインなどからも作ることができます。 太平洋戦争時には潜水艦のソナーに使用するため、ワインが軍事物資として扱われた様です。
お使いのものがどちらかは、耳挿入部を取り去った状態で中を覗き平板か出っ張りがあるかで分かります。 平板のほうが圧電タイプです。 ロッシェル塩タイプは結晶に針を取付、アルミ箔の振動板が付けられており、アルミ箔の振動で音を出しています。
またテスターの抵抗計で測ってみると、ロッシェル塩タイプは20KΩ程度を示すのに対し圧電SPは無限大を示します。 感度という意味では厳密に測定していませんが先日カセットテーププレーヤーのヘッド出力を直接チェックしたところ、ロッシェル塩タイプでは何も聞こえませんでしたが圧電SPタイプではかすかですが出力か確認出来、ヘッドの良否判定ができました。 持っていない方はぜひ手に入れてください。 通販の最安値では275円(送料除く)で入手できました。
じつはおもちゃの蓄音機の修理が来たことがあります。 クリスタルカートリッジで簡単なアンプ付ターンテーブルの周囲内面ゴムをモータシャフトの軸で駆動するものでした。 このクリスタルカートリッジがバラバラになっていたので、代わりに小径の圧電SPに針を取り付けてカートリッジらしきものを作成したこともあります。 それなりに音が出ました
服部
USBのAC電源アダプターが壊れたので、昔のドコモのAC充電器で5.5V出力のものを流用することにしました。 正確なUSB機器では使えませんが、LED照明などの簡易的なものでは充分使えます。
まず携帯電話用のコネクタを切断し、出力を見たところアウトプット無。 ケーブルの断線と判断しアダプター本体をカッターナイフで切断。 基板の出力部分ではOK。 別のケーブルを半田付けしてOK。
元々のNGケーブルがどこで断線しているかを調査。 このケーブルは外形黒ビニール径2.3㎜。 この中に外形約0.8㎜の赤と黒の線材があります。 赤と黒の線材の芯線は絹糸とのより合わせとなっています。 芯線の色は銅色、両端の導通チェックで不良個所を見つけるため、ケーブルを折り曲げたり押し付けたりしましたが導通は一切なし。
仕方なく全体1mほどのものを中間で切断して同様のことをトライ。 すべて一切導通無。 断線が2か所あれば、このようなこともありるえる。 さらにそれぞれの線を1/2に切断(全体の1/)。 やはり一切導通無。
これはおかしいと思って芯線そのものを導通チェック。 やはり導通がない。 芯線はポリエステルで絶縁被覆されていました。
通常イヤホンやヘッドホンの芯線はそれぞれポリエステル被覆のままで多芯化されており、それぞれの芯線線材に赤、青、緑、黄色の着色があります。 このポリエステル被覆はハンダ鏝時に取り去ることができます。 半田付け時に独特のにおいがします。
今回は赤と黒のビニール被覆にもかかわらずポリエステル絶縁されていました。 導通チェック時にまず被覆が絶縁されていないかをチェックする必要があります。 この場合には先端部分を半田付けしてからチェックしてください。
服部
リモコンヘリ(CCPのナノファルコン、ピコファルコン)のコントローラが乾電池ではペアリングできますが、手持ちのスイッチング方式の外部電源ではペアリングできないことがありました。
Li-po電池の充電は共にOKです。 電源のスイッチングノイズの影響と思われます。 対策としてトロイダルコアを電源リード線に入れてみました。 巻着付ターン数は5回まで、入れる位置はリード線先端と電源直近。 すべてNGでした。
次にリード線先端に22μFの電解コンを挿入したところOKです。
コントローラ内部には10μFの電解コンがありましたが、ノイスが取り切れない模様です。
この電源は市販のSW電源用基板を使用し、アナログメータの電流測定用にコイルを巻いています。
このコイルのL成分のために寄生発振をしていた様です。
電解コンを入れることにより寄生発振を回避した様です。
お持ちの外部電源使用時には注意してください。。
服部
基本的にはラックピニオンの方式ですが、中間に遠心クラッチの入っているものといないものがあります。
遠心クラッチ方式はモータが回転した時に遠心力でプラスチック片をクラッチドラム外部の内側に押し当てて、外部ドラムを回転させピニオンを回します。 回転していない時はピニオンはフリーになるため、停止時に前輪を左右に振ってみるとトリム位置調整兼用のリターンバネで軽く中央値に戻ってきます。
一方クラッチのないものは戻り時にモータ軸も回転させる必要があり、左右に振ってみるとモータの回転音もします。 今回のトラブルは動作時に左右に問題なく曲がりますが、中央位置への戻りが鈍い、遅いというものです。
リターンバネが弱ければ同現象になりますが、ばねには異常が見られません。 ステアリングモータを外して外部電源で回してみると、それなりに回転しますがやや負荷電流が大きい。 モータシャフトの両端に注油してみると回転数も上昇し負荷電流も減少しました。 これで組み立ててみると、戻り不良も改善されていました。
今回のトラブルはモータ非通電時のシャフトの軸ロスが大きくなっており、リターンバネだけでは戻り切れない状態だったと思います。
服部
モータ不良で最も多い物はブラシ不良ですが、たまにコミュテータ不良の場合もあります。 コミュテータはついているグリスやカーボンをふき取ってみると深い溝が二本円周上にあることがあります。
この場合ブラシを交換してもロックポイント(デッドポイント)が発生する場合にはコミュテータ不良と判断されます。 通常はこの時ブラシもかなり摩耗していることが多いです。 ブラシが正常なのにコミュテータのみ摩耗という場合もありますが、この場合はコミュテータの材質不良と思われます
以前から言っているようにモータ交換はなるべく避けた方が無難です。 外形は一緒でも巻線仕様が異なり正常な動作をしなくなる場合が多いです。 トルク定数を合わせる必要があります。 コミュテータ不良の場合は巻線と一体なのでモータ交換となってしまいます。
これを避けるために、邪道の修理方法ですがブラシの位置をスラスト(軸方向)にむりやりずらすことで直る場合があります。 コミュテータ不良でデッドポインとが発生している状態でシャフトをスラスト方向に指で押してみてください。 例えばピニオンギア(プーリー)のついている側を押したときに、正規に回るようになればブラシの先端をピニオンギア側に曲げてください。 ピニオンギア側に引っ張った時によくなればブラシをピニオンと反対側に曲げてください 曲げる量は二本に分かれている正常のブラシ先端距離の1/2の0.5㎜程度が良いと思います
服部
先日、ホビーオフで下記のジャンクおもちゃを入手しました。 最初に入手した時、手、足、首が動くわけでもなく、わんわん、きゃんきゃん言うだけで何なんだろうと思っていました。
後日また同様のものを入手しましたが、動作は全く同じでした。 NETで調べたところ下記のものであることが分かりました。
2012年発売開始
名称:ケータイわんこ
メーカー公式サイト
犬のことばが日本語になる不思議なスマホ(ケータイ)つきの犬のぬいぐるみ。 犬が「ワンワン」と鳴いたら、スマホを当てると日本語に翻訳できます。 約300種類のことばを話し、ことばのやりとりでお世話遊びが楽しめます。 付属の「ビスケット」で食べさせ遊びもできます。 おすわりだけでなく、ねそべったり、自由自在にポージングできます。※オートスリープ機能つき
ケータイわんこ おせわプラス トイプードル ブラウン
入手できたのは犬本体だけでスマホ、ビスケットはありませんでした センサーは磁気ではと思い、壊れたSPを鼻のところに持っていくと、上記の説明のように犬が日本語に翻訳してくれました。 ビスケットの代わりに手であごの下あたりを触っていると、もぐもぐと食べている音が出てきます。 NETのコメントを見てみると、子供によってはすぐに飽きてしまう様です。 だから2体も入手できたのでしょうね。
服部
先日、機関車の煙が出るタイプのものを入手しました。 煙は円筒形の筒に水を入れて超音波発信子で水蒸気にするものでした。 加湿器と同じ原理です。 この部分の回路を少し解析しましたので報告します。
電池は単二3本です。 この電圧をスイッチングして昇圧して超音波発信子を駆動しています。 波形はオシロで観測しました。 周波数約110kHzの発振子から極性の反転した2種の波形をそれぞれTRに入力し中間タップのついたトランス入力に接続されています。 中間タップは+の接続されているのでトランス入力としては約8Vp-pです。 トランスの出力は40Vp-pでこれが超音波発信子に入力されていました。
服部
スピーカの仕様として重要なものは
があります。おもちゃに使用されているスピーカに書かれているものとしては2.インピーダンス、よくて5.最大入力です。
おもちゃに使用されている範囲としてはφ10~50㎜程度のものが多く、最も多いのはφ27、29のものです。 この範囲では口径は大きいほど良い音がしますが、修理に当たっては元々ついていたものと同じ物が簡便です。
おもちゃでのSP駆動は大部分がスイッチング駆動です。 片側を電源かGNDに接続し、他方との間にSPを挿入しTRでON/OFFさせています。
瞬間的にはDC駆動と同様になりますので、印加電圧3V、インピーダンス8Ω(ここではLを無視するとして)、 TRのVCEを0.5Vとすれば2.5/8で0.3 Aで0.75Wとなりますが、 実際の駆動波形を見てみると音出力時は最大時に2.5Vの1/2を中心に振っているのでその半分となるため電流も半分となり、 SPのコイルに流れる電流は0.15A程度になります。
この時の消費電力は1.25V*0.15Aで0.2W弱となります。従って0.2W程度の最大入力が必要となります
前記でも述べましたがインピーダンスが小さいほど電流が多く流れるので、同じ効率であれば大きい音がします。 これを逆に利用して音が大きすぎるおもちゃの音を小さくする方法として、SPとシリーズに抵抗を入れます。 音が半分くらいになったかな、という抵抗値はおもちゃによって大幅に異なりますが、経験値として50~200Ω程度となりました。
逆に言うとインピーダンス8Ωのところに16Ωや24Ωのものをつけても、殆ど変化を感じないということです。 元ついていたものより小さいインピーダンスのものを使用するときは、SPの最大入力やTRのコレクタ損失を考慮する必要があります。
通常のSPでは1Wの電力を投入した時に1mの距離での音圧(音の大きさ)を表す単位として例えば90㏈/w/mのように記載され、この数字が大きいほど大きな音が出ます。 この数字が3㏈大きいと倍の大きさの音が発生します。 効率が良いヘッドホーンでは1㎽の電力を投入した時の音の大きさを例えば96㏈/㎽と表示します。
おもちゃのSPにはこれらの数字が書かれていることはまずありませんが、SPによってこの数字が大きく異なるものがあることを知っておいてください。 ほぼ同じに見えるSPを取り付けて音の大きさを確認してください。
効率はSPの磁気回路の設計とボイスを含むコーン等の可動部分の設計によって大きく変化します。 同じ磁気回路でも可動部分が重いまたは動きにくければ効率は下がります。 逆に同じ可動部分でもマグネットの磁力が強ければ効率が上がります。
また可動部分の構造によって再生周波数帯域は大幅に異なります。 一言でいえば口径の大きいほうが低い周波数成分まで再生できます。 コーンの材質が柔らかいと高い成分の周波数は再生できません。 近年の技術進歩によって可動部分が軽く、しかも腰があって効率が良く、小型でも周波数特性のよいSPが作れるようになりました。
服部
私が持ち帰り修理となりましたました1件は本物のレジスターです。
レジスターはたいへん古く95年製造のTECのものです。 このレジスターはおもちゃとして使っているということで受け付けました。 ピッピッと音がしていたものが、しなくなったというものです。
レジスターは触ったことがありませんでしたので昨夜興味しんしんで調べました。 リセットSW(TESTと表示)らしきものを押すと動きだしますが、電源を切ると動かなくなります。
原因はバックアップ用の電池(ニッカドの円形の電池を3枚重ねた3.6Vのもの)で、完全に不良になっていました。 手持ちの使い古しの単三型600㎃3本のものに付け替えました。 しばらくは使えるでしょう。
プリンタも動き始めましたのでインクローラーに黒色インクを染込ませました。 緑色の表示は輝度が低いですが何とか光っています。 現在は円形のニッカド電池はあまり使われないと思いますが、表示に280KとかV170Rとか書いてあります。 この場合ともにφは25ですが数字は電流容量を示し280㎃h、170㎃hを示す様です。服部
リモコンのコントローラから本体のリチウム電池に充電する物やラジコン車の本体側の電池など、多数の乾電池を使うおもちゃの場合には動作チェックで乾電池を消費してしまいます。 このため外部電源を使用して修理にあたることがあります。
電池ボックスの電池端子をよく見ると、最終的なプラスとマイナスの端子の位置はわかります。 外部電源のクリップはマイナス側には容易に接続できますが、プラス側には固定できません。 このためダミー電池の形状のものを挿入しで接続することが多いです。 ダミー電池は売ってもいますが、なかなか手に入らず、絶縁物で自作されている方もいらっしゃいます。
昨日、ふっと思いついて作ってみました。 もっともわたしが気が付くのが遅かっただけかもしてませんが、 作り方は簡単で空になったアルカリ電池の外皮をやすりで削り取り、その部分にリード線を半田付けするだけです。
以前にも書きましたが、アルカリ電池の外皮の下はすべてプラス極性です。 ちなみにマンガン電池の外皮の下はマイナス極性です。 乾電池が2本以上であれば、通常はこれで動作チェックできます。
たまに電池ボックスの途中から異なる電圧を取り出しているおもちゃがあり、この場合にはもう一つダミー電池が必要で、外部電源ももう一つ必要となります。 電池では動くが、外部電源では動かない時に注意してください。
服部
前回はSPの一方がマイコンかTRに接続され、
もう一方が電源かGNDに接続されている場合について記しましたが、
今回はマイコンから出力が2本でディファレンシャル駆動
(一本の出力信号ともう一方の信号が逆相になっている。この2つの信号を足し算すると出力信号は倍になります。また片方の信号を逆にして足し算した場合には出力は0になるような信号波形です。オシロではこの測定が可能で、INV+ADDといいます)
している場合があります。
SPから音が出ないという不良の場合にクリスタルイヤホンでチェックする時、 イヤフォンの片側をGNDまたは電源に接続して、もう一方を音声出力部に接続した場合には音は出ていますが、 二つの端子にイヤフォンを接続した場合には音は出ないか、かなり小さい音しかしなくなることがあります。
これは片側の出力端子がNGとなっています。 二つの内、どちらの出力がNGかを判断する場合には、SPやSPと並列に接続されているCを外してから、 イヤホンまたはオシロで片側GNDまたは電源に接続してから、それぞれの信号をチェックします。
また音の出ていない時(無信号)のDC電圧もテスターで測ってください マイコン不良でこの部分は修理できません。ところがディファレンシャル駆動の片側だけでも生きている場合には、生きている端子と電源またはGNDにSPを接続すると音が出ることがあります。 片側を電源またはGNDのどちらに接続するかは、先ほどの無信号時の電圧に近いほうに接続します。 異なった方に接続すると音が出ていない時に、電流が流れ続けることになりますので注意してください。
服部
SPは電圧を入力するボイスコイルとそれに接続されているボイスコーンと、ボイスコーンを駆動するためのマグネットからなっています。 本来SPは何もならない時は端子電圧が0Vで、ボイスコイルは釣り合いの取れた中央部にいます。 音に応じてアナログ電圧が入力され、0Vの時の位置から前に行ったり、後ろに行ったりして、連動するコーンを動かして音を発生しています。
通常の音響製品はこのように駆動していますが、おもちゃの場合にはちょっと変わった駆動方式を取ることが多いです。 マイコンから出力が2本でディファレンシャル駆動している場合や、SP入力部でCでDC分をカットしている場合は前記と同様ですが、 音の出るおもちゃでマイコン出力は一本またはマイコン出力をTR一個でドライブしている場合には、SPの一方はマイコンかTRに接続され、もう一方が電源かGNDに接続されています。
またこの時マイコン出力は音のアナログ波形とは似ても似つかないパルス状の波形をしています。電圧はほぼ0Vと電源の間のパルスです。 いわゆるPWMです(PWMとはパルス幅変調)
またこのパルスの繰り返し周波数は音声周波数に対して充分大きいことが必要です。 この電圧をSPを接続することにより積分しています。 積分とは低い周波数のみ通過させることです。 デューティー50%とはON/OFFの時間が同一の場合をいいますが、これを積分すると0Vと電源のちょうど中間の電圧となります。
この場合にはこの電圧を中心にスピーカを駆動していることになります。 SPの通常位置に対して電圧が印可され物理位置がオフセットしています。 デューティーが変化するとこの中央からシフトして音を発生させます。 SPのボイスコイルの物理的可動域に対して入力が小さければ何とか使えます。
おもちゃの音不良でひずみ音がある場合に接続端子を入れ替えると直る場合があります。 これはSPのフリー位置が物理的な中心位置がずれている場合や、ボイスコイルが曲がっていてある片方でマグネットヨークと接触している場合に発生します。 コーンが一部外れている場合にも起こりえます。
SPチェッカーでもオフセットの発生している方式のものは、要注意です。 チェックの場合に端子の極性を入れ替えて、両方でチェックしてください。
服部
あまり見かけないおもちゃの修理を受けるとき、依頼者から音(音楽)のみで動かない、とか音と一緒にLEDが光るとか、電源SWを入れたらすぐ動くとかのお話を聞きます。
内部をばらしてみると音の出る機構はまったくなく、モータとメカが入っている。 実際は音は出ないが動くだけだった。 まったく逆の場合で、動くといったのにメカ機構がないものもあった。
電池ボックスにはSPの音出口のような穴が開いた部分がある。
内部をばらしてみると音の出る機構は無い、電源を入れても何も動かない(前回持ち帰ったもの)。
実際は手部分にSWがあって、そこを押すとLEDが光るだけ。
中を開けて調べてみるとスタートSWやセンサー(光、音、振動、衝撃等)があり、それを駆動しないと動作が始まらない。
この場合、色々なケースがあり、ぬいぐるみだと手、足、腹、頭、尾等を外部から手探りでSW、センサーの有無をたしかめる。 SW不良は結構多く、接点不良や取付部の断線が多く見られます。
光はCDSやフォトTRが多く使われています。 直接光の場合は、光の変化による電圧の変化を測定して不良判断をして下さい。 LED発光部の光を受ける場合には発光側のチェックもお忘れなく 反射型の場合はLEDとフォトTRが一体になったもので、フォトカップラを呼ばれ反射物の距離によって動作が変化しますので注意してください
音はコンデンサーマイクが多く使用され、断線、回路不良、マイク素子不良等があります。 マイク素子交換時には+と−を間違えないでください。 回路で電源に近い配線が+側です。 素子のマイナス側は素子外形の金属にパターンがつながっている方です。
衝撃(手でたたく)センサーは圧電SPがよく使用されます。 圧電SPのハンダ外れ不良が多く、+側(中心側)のリード線の半田付け時は、やや低温で短時間に半田付けを終えないと蒸着膜がなくなってしまいます。 膜全体の70%程度以下になった場合には新しいものと交換しましょう。
振動センサーは基板上についていることがあり、ぶらぶらコイルが円筒のなかに入っているものが多く、振動で電気的に繋がる方式です。 このタイプ場合コイルが基板から直接立ち上がっていて、外筒とは別になっているものが多く、姿勢の修正時には半田付けに注意してください(できれば半田付けを避ける)
姿勢センサー リモコンヘリには3軸センサーもありますが、円筒形の中に金属ボールが入っていてボールが電極をショートさせる方式のものもあります。 この場合振るとチャラチャラ音がします。 これをONさせないと動きださないというものもあります。 他のおもちゃでもどこかに押釦がないか、センサーがないかをよく見てください。
アンパンマンハンドルでの事例、ハンドルの押釦を押しても何も動かない。 アクセルペダルを踏むと音はするがブレーキパダルを踏んでも音がしない。
このタイプはハンドル部分の回路とペダル部分の回路が独立しているものと、接触型コネクタでつながっているものがあります。 このおもちゃも場合はスタートSW(押釦とキー式があります)を押せばエンジン音が起動して他の押釦SWもOKとなる。
ブレーキペダルはアクセルペダルを押しているときも含めて、走行音がしているときのみブレーキ音がします(実車では当たり前)
使い方が分からないと不良に見えます。
依頼者の言うことは聞かなければいけませんが、100%鵜呑みもいけません。
服部
もう季節は過ぎてしまいましたが、例年この季節の前になると光らないと、結構修理依頼があります。
点滅方式にバイメタルがありますが、その電球自体にも光るタイプと光らないタイプがあります。 ガラス管の中を注意して観察してください。 LED方式のものはICの入ったコントローラを持っていますので、通常のおもちゃと同様に回路解析を行ってください。
通常回路は並列に複数の回路を持ち、その1回路の中はランプが直列に接続されています。 電球が外れるものと外れないものに分かれますがランプのチェックは、外れないものは針で順番にチェックするしかありません。 電球型の場合には良品の抵抗値を読み取っておいてください。
1回路に複数個の電球があるはずです。 100V直結の場合は一つ電球にかかる電圧は100/個数です。 ランプの抵抗値がほぼ同一のものと交換してください。 数の違うものから流用する場合は注意してください。
特に数の多い物からの流用する場合は、すぐに玉切れを起こす可能性がありますので特に注意してください。 少ない物からの流用は全体が暗くなる。 電圧のわからないものは外部電源で点灯してみる。 低い電圧から徐々に上げて適度な明るさの時の電圧と電流を読み取る。 良品とほぼ同一であることを確認してください。 電球の仕様は通常1~2W程度と思われます。
タングステンフィラメントタイプのものを一時的に復活させることができる場合があります。 今はあまり使われませんが家庭用の電球でも同様です。 方法は電球に通電した状態でガラス部分をでこぴんの要領で弾くと、フィラメントが瞬間的にリード線に接触しその時のフィラメントの発熱でフィラメントとリード線がくっつくものです。 ついた状態ではそっとしておくと結構使えることはありますが、逆に衝撃を与えると外れてまたきれてしまいます。 正常の電球はこのような衝撃は禁忌です
服部
見た目はまったく正常に接続されているように見えますが、接着剤があるがゆえに断線している、または切れかかっていることがあります。
振動を加えるとたまに動くとか、全体にひずみを加えたりひねったりすると、OKとなる場合は接続部分の断線が疑われます。 この場合には一度注意して接着剤をはがしてチェックしてみましょう。 熱収縮チューブがかぶされているものでもほぼ同様の不良が発生することがあります。
服部
ラジコン車の修理でこんなことがありました。
前に走行しないという主訴でした。 確認してみると後進はすることがありますが、動かないこともある。 前進とステアリングは動作せずでした。 主訴と少し違う・・・
まずコントローラの電波発信確認を行いました。 確かに前進のみ電波が出ていず、タクトSWの不良と判明しSWを取り換えました。 修理後、電波は変調がかかっているような音が出ました。
しかし、まったく動作せず、車体側の電池を確認しましたがOKでした。 とりあえず車体側の回路不良と判断し、回路の電源系を確認しましたが、入力の6Vとデコーダ用ICの電圧約3.5Vも正常でした。 じっくり回路を追うしかないと判断しました
もう一度コントローラにもどって、電波発信時のパイロットLEDが点かないことに気が付きました。 LED不良かと思いましたがLEDは正常、調べてみるとLEDの駆動電圧が1.3V程度しかない。 ICからの駆動電圧も同様、ICへの供給電圧は1.5Vしかない。 1.5VではICはまともに動作するはずがない。
原因はコントローラ側の電池不良でした。 コントローラに使用した電池は病院備え付けのものでした。 セオリー通りの電池確認をしなかったのがいけませんでした。 なまじ電波が出ていたので、これで振り回されました。
服部
最近修理依頼が多々あります。 ベイブレードには右回転と左回転があります。 この回転方向は独楽が自分で回っている時の方向です。 したがってランチャーに独楽を乗せた状態で、時計方向に回るもの(右回転)が左回転、反時計方向に回るものが右回転となります。
持って帰った、引っ張った後ひもが戻らないランチャーは巻き戻しばねが中で折れ曲がっていて、シャフトとばねが外れていました。 ばねをすべて引っ張り出して、何か所もの折れ曲がりをラジペンで修正後組み込みました。 シャフトとばねの先端部分の形状がうまくできないため、逆に回すとばねが外れてしまい、何度もトライしてしまいました。 ひもが戻るときのばねのプリロードが不明のため適当なところで、セッティングしました。
今のベイブレードは独楽も3つの部品でできており、これを対戦時に相手の独楽をばらばらにすることで、ポイントが上がるということも初めて知りました。
服部
修理の仕方にはドクターそれぞれの経験、考え方によりいろんなアプローチがお有りだと思います。 最終的には壊れたおもちゃが直り、依頼者に喜んでいただけることがドクターの喜びでもあると思います。 ここでは私個人の考え方、取り組み方について述べます。
依頼者からは一言でいえば「動かない」でしょうね。 原因として部品、本体が折れたというものは見れば分かりますので、処置の方法を考えるだけです。 ただしその材質、形状、修理の周辺部品に影響を及ぼさないような方法を選ぶ必要があります
そのためには材質の組成、強度、性質の知識をあらかじめ覚えておくことが大切です。 またメカのからくりも習得すべきです。 からくりも非常に範囲が広く、おもちゃを分解してみて初めて分かるものも多々あります。 機械工学の基礎知識も大切です。
電気的な不良に関しては電池端子、リード線等の目に見える物は処置方法も判断できます。 当方電気屋ですので回路の不良解析については参考にして下さい。 難しい電気回路を勉強する必要はありません。 オームの法則と、TRのSW動作がわかれば強力な武器となります。
回路を解析するには実装されている素子が何であるかを判断する必要があります。 抵抗、コンデンサ(キャパソタ)、TR、FET、ダイオード、発振子、各種センサー等の実物を覚えてください。 それぞれの基本的な性質、特性、規格に注意してください。
ICにはいろんな物がありすぎて一概にはかけませんが、電源IC、ドライバIC、センサIC、メモリIC、DSP等はNET等で調べるとかなりの物が分かります。 最近の面実装の部品ではマーキングが少なく分からないものが多々あります。 COBについてはマイコンであれば手が付けられませんが入力と出力ポート、電源等で中はブラックボックスでOKです。
これらの調査の上で回路図を起こします。 まず最初に基板パターン上に電源とGNDを色違いのマジックペンでドット等の印をつけます。 これだけで1/3程度のパターンは処理できます。
後はSW、センサー等の入力部の解析、モータ、SP等の出力部を逆に追っていきます。 詳細は実地でやらないと分からないと思いますが、SWを押すとモータが動いたり音が出るものからトライしてみるとよいと思います。
メカ、エレキいずれにしても動作原理、からくりがわからないと修理にかかれません。 またこれが分かってから処置出来たものは、次回に同様のものが来た時には、スムーズに処置ができるようになります。
修理技術の向上は数を手掛けることと、そのおもちゃの解析だと思っています。 おもちゃを直される方は皆さんエンジニアです。 エンジニアにとって原理、原則、原因、現物、現場の5原主義が大切だと思っています。
服部
タッチペンで本に印刷されたマイクロドットを読み取る方式のこのおもちゃも結構修理依頼があります。 アンパンマンことばずかんにも今の所、標準タイプ、デラックス、スーパーデラックスの3種があります。 デラックス以降は英語モードがあり、さらにスーパーデラックスでは二語文も可能です。
他にずかんしりーず(ペンは緑色)や他社のものも見受けられます。 これらはペンは同じようにみえますがすべて他の本との互換性がありません。 一見同じように見えても読めません。 本に印刷されたマイクロドットはQRコードのすごく小さいものと思ってください。 5倍以上のルーペで拡大するとパターンが見えます。
この際ドットの色の違いは無視してください。 ペンの先端にイメージセンサーと赤外線LEDが2個付いており、赤外線の本からの反射を画像のようにして取り込んでいます。 このデータの処理はイメージプロセッサーによって行われ、SONIX社のSN9P700の32ピンQFPタイプが使用されています。 音の出力等のメインの制御マイコンは全く別の所にあり、これらとやり取りして全体の処理を行っています。
簡単な故障としては、SPおよびSPリード線関係の不良、電源部FUSE切れもありますが、最近のものはポリSWになっていました。 先端のセンサー部は6ピン2列の12ピンになっており、コネクタタイプの場合、取付方向はどちらでも付きますが、ヤマ印(八のような印)の頂点が上側です。
コネクタになっていない初期のものではピンハンダ付部の剥離がありました。 動作の確認には先端部の赤外LEDの確認がありますが、LEDの発光不良には先端部を液状の何かに漬けたものによるが多く、白い粉を噴いたものや油状の汚れ等がありました。
また電池液漏れの影響による腐食も見られました。 これによるパターン断線、駆動TRのエミッタ抵抗(8.2Ω)の断線、抵抗値増大がみられました。
1件、イメージセンサーの汚れによる不良もありました。 あまり勧められませんが、ペンの先端部(キャップ)は、接着併用のネジになっていますので、注意して外すことは可能です。
イメージプロセッサ部の16MHzのクリスタル不良によるシステム停止も1件ありました。 現在他病院の標準タイプと今日もスーパーデラックスの修理依頼があり、これらの修理状況はまた報告いたします。
服部
SWとSPとモータが付いたおもちゃには、基板に黒くモールドされたマイコンが見られます。 COB(コブ) CHIP ON BOARDの略で、これが動作不良の場合には通常は修理することができません。
COBからの配線としては、電源 電池直接の場合もあれば、電池電圧を下げて安定化させたものや、電池電圧をスイッチング回路で昇圧して入力されている場合があります。 GND アナログGND デジタルGNDと2系統に分けている場合もありますが、所詮どこかで繋がっています。 押釦等の外部SWの電圧を入力する部分。複数の場合があります。
それぞれ適切なアンプ回路を経てマイコンに入力されます。 直接入力の場合もあります。
SPを直接駆動しているものもあります。 2本の場合と1本の場合もあります。 一本の場合はSPの片側は電源かGNDに接続されています。 またSP駆動用のTRを持っているものでは、そのTRを動作させるための信号が出ています。(複数の場合もある)
殆ど直接出力の場合が多い。
これは回路に全く見えないものと、高抵抗(数百kオーム)が付いているもの(片側は電源に接続されているものが多い)、水晶発振器等の発振子が付いているものに分かれます。 全ての診断は最終的にはCOBになるべく近い所のパターンを、針等を使用して測定してください。
電源SW ON状態でテスターのマイナス側を電池ボックスのマイナス側に接続して+電圧のチェック。 テスターのプラス側を電池端子の+側につなぎGNDの配線チェック。
理想的にはオシロ、デジタルテスター等の高インピーダンスのもので測定してください。 うまくいけばアナログテスターの10V以上のレンジでも測定できるかもしれません。
モータ駆動用の信号はテスターで測定できます。 SP用の出力は通常の巻線型イヤホンでは無く、高インピーダンスのクリスタルイヤホンで音を直接聞いてください。 クロック部は発振子使用の場合のみオシロで確認できます。 発振子不良の実例もあります。 また高抵抗の劣化の場合もありました。
電源、クロック等が問題ない状態で、何らかの入力がされているのに出力が出てこない場合にマイコン不良とします モータ回路はOKなのにSP不良(あるいはその逆)の場合もあります。
なお経験則ですがマイコン不良の状態でマイコンのみドライヤーで温度を少し上げてみると、正常に動作することがあるということも覚えておいてください。 この場合はCOBの内部配線の不良が考えられますが、所詮マイコン不良の確認がとれたと判断してください。
服部
電池ボックスやDC入力端子に抵抗、FUSEらしきものが付いていることがあります。 FUSEの場合、同じ表示のものを取りつけてください。
抵抗の場合、通常の使用状態では殆ど電圧降下が生じないが、基板部やモータなどがショート等の異常電流が流れた時に抵抗が発熱して、抵抗を焼き切って電流を遮断するもの。
たとえば
・電池2本の3Vの場合通常の消費電流を100㎃とする。
・抵抗値を1Ωの1/4Wまたは1/8Wとする。
通常時の電圧降下は0.1Vでほとんど無視できる。
負荷側がショートしたとして1Aの電流が流れると1Vの電圧降下になり、抵抗の負荷電力は1Wとなりアッチッチになって抵抗が断線するというわけです。
抵抗をFUSE代わりに使用しています。
切れている場合にはその抵抗値は読めなくなっているので、通常時の最大電流から計算して定数をきめます。 一部のおもちゃにはマイナス端子に抵抗(100Ω~1kΩ程度)が取りつけられ、SW部に接続されているものがあります。
この抵抗はSW OFF時に回路が浮くことにより、静電気により回路の破壊を防ぐために取付られています。 なお最近はポリスイッチというもので通常時は低抵抗で、大電流時に高抵抗となって電流を抑制する素子もあり、こちらの場合は温度が下がればまた使えます。
抵抗と同様に通常電流と異常電流を加味して素子の選定を行います。 ついでですがFUSE抵抗というものも実際にあって抵抗の中央部にFUSEが内蔵されており、直列に入っている抵抗の発熱によりFUSEを断線させるものです。 断線すると外部から分かるように中央部に穴が開きます。 ブラウン管TVの水平出力のTRのベース抵抗に良く使われていました。 今はホットカーペットの異常電流検出に使われています。
こちらは2本の抵抗を包み込むように温度FUSEがつけられており、一応モールドやアルミテープで一体化されており、リード線の総数は6本です。 これが切れているときの修理は要注意で、原因を直さないとまた切れます。 コイル(L)の場合。この場合の目的は電源ノイズの削減でDCプラグ入力の場合に良く使用されます。 この場合カラーコードはµH表示です。3桁しか記入して無いものが多い。
DC抵抗は1Ω以下。Lが断線していてDC-DCコンバーター昇圧用のLでないことがはっきりしていれば、とりあえずショートみて下さい。これで動作すれば表示より若干小さいLを付けておきましょう 元の状態のDC抵抗が不明なのでDCドロップを少しでも避けるためにこのようにします。 Lの場合には最大電流、ポリス一致の場合には最大電圧、電流の規定があります。
服部
修理の手順は必ず守りましょう。
基本の基本です。
依頼者が何と言っても、まず電池のチェックをお忘れなく。
音と動作が伴うものでは音は正常で動作をしない時に注意。 音はするがしばらくすると音が変になったり、音が繰り返しになる時も、電池が原因の時が多いです。 散々調べて原因がわからず、諦めようとしてから電池不良に気が付く場合が、私にもまだあります。
電池のチェックの次は電池の端子不良のチェックです。 電池が二本以上使用されているときは、ボックス全体の電圧を電池ボックス部の端子で測ってください。 各端子が見た目はきれいでもNGの時があります。 SW OFF時OKでも、SW ON時にNGとなることもあります この場合は電池ボックス端子の腐食等が原因と考えられます。
また以前にワンポイントアドバイスで書きましたように ボックスと電池の形状アンマッチによる接触不良もたまに見かけます。
服部
おもちゃではかなり細いものが使用されています。 剥いても向いても芯線が黒く腐食しているビニール線はハンダが乗らないので、別のものに取り換えた方が作業が早いです。
ビニール被覆を剥ぐ場合には線径に見合った適切なストリッパーが必要です。 耐熱で無いものはハンダ付時に被覆が溶けてしまいます。
マイクに良く使用されます。 網線部分はバラバラにしないで網の根元部分をピンセットで開けて、そこに心線をくぐらせるときれいに端末処理ができます。 周波数の高い信号をこのケーブルを使用した場合、線間の容量の為に信号がうまく伝送できまいことがあります。
イヤホーン等に使用され引っ張りに強いですが、ハンダ付けした場合には繊維部が接続されていないので弱くなります。 この部分は力のかかる装置の外側にしないことが必要です。絶縁被覆が樹脂になっており、ハンダ付時に絶縁皮膜が取れてしまいますので作業は楽です。
おもちゃにはあまり使われませんが、特性インピーダンスが50Ωのものと75Ωのものがあり、通常*C2V(75Ω)、*D2V(50Ω)で表され*の数字が大きいほど外形が大きく、通過損失が小さくなります。 TV用としては地デジはUHF帯で470~770MHzで4C程度で充分ですが、BS、CSのアンテナからの信号周波数は1G~2Gで、2重シールドのされたS4CFBを使用することがベターです。 USBケーブル100円ショップで入手しやすく、色違いの線が4本入っています。
少し外径が太いですが8芯の色違いの線が入っています。 最近は使用頻度が少ないのか100円ショップに無いことがあります。 見かけたら一本購入しておくといいと思います。USB、LAN共におもちゃに有効に代用できます。
4芯で柔らかくていいのですがハンダ付ができません。圧着のみです。
ドラムコンセントには10mから30mのものが良く使われており、調べてみるとケーブル(VCTやSVCT)の芯線はは2㎟のものが多く使われているようです。 このケーブルの抵抗値はmax9.5Ω/kmで、これを9Ωとして計算してみると30mドラムの場合は0.54Ωとなります。
1200Wのホットプレートを例に計算してみます。
ホットプレート側のニクロム線の抵抗の温度変化率は1℃あたり0.0002なので、無視するとしての実行抵抗は8.3Ωと計算でき、前記のドラム抵抗を加味すると電圧が約93%となります。
これでは最高温度に達せず上手く調理できないことも充分起こりえますね。
宅内配線もドラムと同様に2㎟のものが良く用いられており、ドラムを使用しなくても宅内配線が長ければ同様のことが発生する可能性があります。 また家庭で良く使われるACの延長タップを使用して、掃除機、電熱器、ストーブ等の大電流が流れる機器を使用する場合には上記と同様のことがおきたり、線材が過熱して火事につながる危険性もありますので、充分注意してください。
服部
大部分の皆様がすでにご存知で実践しているかと思いますが念のため記載させていただきます。 なお先日、Kさんにお送りしたものを加筆、修正したものです。
おもちゃのレジスターのハンドスキャナー部やワイヤードリモコン、あるいはおもちゃではありませんがPCのマウス、家電品のドライヤーなどの断線はかなり頻繁にあります。 大部分は折り曲げで芯線が切れることが多いです。 このため断線の多いのは出口、入り口の付近の2~3㎝以内の所、またおもちゃでプラケースでの挟みこみやネジによる押しつぶしによる断線も結構あります。
断線の調査はクリップで出口、入り口の線材の心線を咥えた状態で、導通試験をし出口、入り口の付近の2~3㎝位の所を手で折り曲げてみたり、引っ張りおよび逆方向の押付をして、逆に導通するところを探します。 ツイストペア線やフラットケーブルの場合にはビニール線が一本ずつ見えているため、乱暴ですが1本ずつビニール被覆に針を順に差し込んで導通チェックを行う方法もあります。
この場合芯線に確実に針が接触しているかを確認しながら実施することが必要です。 ビニール線が細い場合にはかなり難しいです。 導通不安定の場合もこれらの方法で不具合部が見つかることがあります それが見つかったらその線材の芯線をラジオペンチ等で引っ張ると(被覆は引っ張ってはいけない)、切れている部分で外に出てくることが多いです。
その距離が短ければケーブルはそのまま使えますが、短くなりすぎと判断される場合には取り換えるしかありません。 前記で一瞬でも導通が確認されないばあいは、とりあえず線材を引っ張ってみる。 この強さの加減は微妙です。良いものを切ってしまっては元も子もないので・・・。
断線の診断方法は、まずケーブル、線材の被覆をよく観察し、被覆の押付痕や傷、破損部を念入りにチェックします。 この異常部分を上記の導通試験で折り曲げ、引っ張り、圧縮作業で、一瞬の導通、不導通を見つけます。
そのままの線材を使用して修理する場合は、修理部は力のかからない装置の内部で処理してください。 取付部に元々付いていたブッシュはなるべく再使用して下さい。 取付部の内側で線材を一巻して抜けを防止してください。 短くなってしまう場合には内側に束線バンドを被覆上部からきつく巻く付けることでも代用できます。 線材を取り換える場合は外形も大事ですが、折り曲げ耐力と引っ張り耐力に注意し、必ず同種以上の性能のものと交換して下さい。
ACケーブルの場合、ヘッドホンの線材、シールド線でも引っ張り力の必要なものは注意してください。 線材(芯線)は屈曲には弱いので、折り曲げ時の半径(R)が大きくなるようにすることが必要です。 ハンダ付等で修理した場合はその部分は曲がらないので、次にその前後で切れます。 充分な対策をして下さい。
ついでですが家電品のドライヤーはACケーブルを本体に巻き付けて収納することが多いです。 この時ACケーブルはまるでより線のようによじれていることがあります。 これをほっておくと断線に繋がります。 とりあえずはよじれをなくするように反対によじってやれば修正できますが、またしばらくすると元の木阿弥になることがあります。 これを防ぐためには、収納時ごとに左巻きと右巻きを交互に巻き付けを実施すると解消されます。 少し気をつけるだけで効果絶大です。
服部
マグネットの材料には通常フェライトやネオジ、サマコバ、アルニコがあります。 また焼結型とボンド型に分けられます。
おもちゃに使われているモータには通常焼結のフェライト磁石が使われています。 その形状は八つ橋型のものが2つ180度対向に接着されています。 磁界は面着磁で八つ橋の凸面がN極であれば凹面はSとなります。 180°反対側のものはこの逆になっています。
昔からある磁石の棒形状の物は棒の片側がN極、他方がS極となっています。 ゴムシート状のもの(マグネットボードで紙を押さえる用途のもの)は細長いものが、多数連続的に並んだような変わった着磁がされています。 着磁状態を目で見ることが出来るグレーンシートというものがあり、興味があって見てみたい方は声をかけてください。
SPに使われているものもフェライトで同じく裏と表の面着磁になっています。 磁石の磁界を有効に利用するためには磁石の周りにヨークというものが必要で、モータでいうと外側ケース、SPだと裏側の金属と前から見た時のボイスコイル周辺の金属です。 ヨークは磁界を集めでギャップ(磁束の集結する場所)をつくります。 磁石の強さに合わせてヨークを設計しないと、磁石がいくら強くてもその性能は発揮できません。 磁束があふれて外に出てきてしまいます。 これを漏れ磁束といいます。プラレールのようなモータでは漏れ磁はほとんどありませんが、ヘリコプターに使っているようなコアレスタイプの棒形状のモータでは磁束がかなり漏れています。
ついでですがマグネットの材質によって温度に対する磁束の変化があります。 温度が上がると磁界が無くなる温度をキューリー点と呼びます。 この温度が高いと温度変化が小さい、低いと温度上昇で磁界が減少します。 モータの場合には発生するトルクが変わる。 フェライトはキューリー点が高いのでほとんど気にしなくて良いですが、希土類磁石の中には磁界は強いですがキューリー点の低いものがあり注意が必要です
服部
おもちゃでプラスチックの形状が変化してしまって、うまく動かない時があります。 無理やり曲げても少しずつ戻ってしまいまたダメになることも多々あります。 これらをクリープ現象と呼びます。
力が加わった状態が続くとその力を取り去った時に元に戻らない現象。 プラスチックの材料の特性に熱可塑性と熱硬化性があります。 やわらかい熱可塑性のプラスチックはクリープが発生しやすいです。
通常使われるプラスチックの中で熱硬化性のものはエポキシ樹脂だけです。 他のものは熱可塑性なので温めると柔らかくなります。 このためプラスチックを曲げたい時にはドライヤーで温めながら曲げると戻りが少なくなります。 その後冷風で冷えるまで保持します。 ただしもともとプラスチックは熱に弱いので温めすぎると溶けてしまいす。 それぞれの材料の耐熱温度を気にしながら実施してください。
ついでですが世の中でよくレジンという言葉が使われますが レジンとはそういうものがあるのではなくプラスチックの総称です。
また耐熱温度ですが融点(そのものが溶ける温度)からきています。 融点に近づくほど柔らかくなります。 これはプラだけでなく金属でもいえます。 アルミの融点は660℃、銅は1083℃、鉄は1539℃です ハンダ鏝のこて先は通常銅または銅に鉄メッキがされています。
またハンダ鏝のこて先温度は放置しておくと400℃程度まで上昇します。 銅のこて先はこの温度でも若干柔らかくなり、少し力を加えるとこて先が曲がってしまいます。 常温ではそんなことにはなりません。 経験としてアルミの棒でこて先を作成したことがありますが、使用時にはかなり柔らかくなってしまい、少し力を加えるだけで容易に曲がってしまいました。
服部
今日もプラレールの修理が結構ありましたが、 トーマスシリーズの名称を覚えておくと子供さんたちと会話が弾むと思います。 今回は定番のものだけですが、他にもたくさんあります。
番号 | 名称 | 基本の色 | 車輪の数 |
---|---|---|---|
1番 | トーマス | 青 | 片側3個 |
2番 | エドワード | 青 | 片側4個 |
3番 | ヘンリー | 緑 | 片側3個 |
4番 | ゴードン | 青 | 片側3個 |
5番 | ジェームス | 赤 | 片側3個 |
6番 | パーシー | 緑 | 片側2個 |
数字がないと、この分類ではトーマスとゴードンの区別はつきませんが・・
服部
おもちゃからはちょっと離れるかもしれません。 たまに子供向けDVDプレーヤの修理依頼がありますが・・・
光ディスクの基本的な原理はお分かりだとは思いますが、光ディスクはデータの読み取り、上下方向のフォーカスサーボ、左右のトラッキング位置決めの情報はすべてピックアップヘッド(PUH)から読み込まれます。 その情報はCDでは赤外線半導体レーザ、DVDでは赤色レーザ、ブルーレイディスクでは青色で波長が短いほど高密度データが取り込める)をディスク面に当てその反射光を電気信号に変えたものを使っています。
またディスクのデータ記録方式として読み出しのみのスタンピング(成形)と一度だけ記録できる***Rのように熱を加えることによりディスクの反射率が変わる有機色素系のものと、何度も書き換えできる相変化型の材料を使ったものがあります。(***RE、RAMディスク等)
この3つの方式ともディスクからの情報となる光の反射率は異なります。
それぞれ感度が異なることとなり、読みにくいものと読みやすいものが発生します。
これら多々のメディアの種類があるため全てのディスクが読める(書き込める)装置ではそのディスクを区別し、認識するために時間を要します。
この為、ディスク装置の立上には時間がかかります。
また困ったことにこれらのPUHに使われている半導体レーザは有限寿命なのです。 ある範囲まではレーザ電流をコントロールして一定の照度を保ちますが、それを超えるとデータ信号の低下、位置決め情報もゲインが下がってきます。 このためデータエラー(振動が無いのに音飛び、画像のフリーズ)、振動が加わった時の異常が発生します。 奥の手としてはレーザ電流を増加させ、DCオフセットを取りながら調整をやり直せば生き返ります。
しかし所詮寿命の来ているものを再度レーザ電流を増やすことにより劣化を速めてしまい半年も持ちません。 過去に2台程オシロを使用してトライしましたが、もう諦めました。 レンズ部分をそっとアルコールで洗浄するくらいしか手がありません。
古いCDラジカセ、プレーヤー等はレーザが死んでいるか、死にかかっているので使用できません。 フィリップス型のカセットテープはメカニカルな修理をしていけばかなり持たせることができますが。 光ディスク関係は修理不可と思った方が良いと思います。 PUHは各メーカ固有の設計をするため代替えもままなりません。
また同一製品の交換部品があった場合でも2~3千円以上すると思います。 上下方向のフォーカスサーボはディスクの反り(㎜単位)に追従する必要があり、ボイスコイル方式で駆動しています。 かなりサーボ帯域もあり通常では手でとんとん叩いたくらいではびくともしません。
可搬型のCD、DVDプレーヤーもありますよね。 左右のトラッキング方向の制御は粗密の2重サーボを使用しています。 通常のトラッキング外れや振動に対してはボイスコイル方式の制御で帯域を上げ、トラックの大きな移動はメカニカルなスクリユーシャフトで送り動作をしています。 よく見ることのできるのがこの部分です。この2つのサーボで尺取り虫のように移動します。
ついでですがCD、DVD、ブルーレイなどの光ディスクのデータの記録されている道(トラック)はレコードと同じスパイラル状になっています。つまり初めから終わりまで一本となります。 HDDやRAMディスクのトラックは同心円状です。一周ごとのものがたくさんあります。 これはデータの使われ方の違いで、音楽や映像は連続で使用しますが、PC等はランダムなデータを使うことが多いためです。
またCD、DVD、BLは外周側を読んでいる時と内周側を読んでいる時でディスクの回転数を変えています。 内周を読んでいる時の方が回転数が大きい。 記録データのビット間隔が一定HDDはトラックにかかわらず同一回転数です。 記録データの周波数は一定なので内周ほど記録密度が大きい装置の立ち上げ時に読み出しヘッドのいる位置(ホームポジション)は光ディスクでは上下動の少ない再内周に位置し、ここにTOC(テーブル オブ コンテンツ)と呼ばれる記録されている内容がかかれています。 これに対しHDDのホームポジションは記録密度の小さい最外周となっています。
かなり長くなりましたがもっと詳しく知りたい方はなんなりとご質問ください。
服部